南米とは南アメリカ大陸、あるいはその大陸にある国々を指します。
北アメリカ大陸とはパナマ地峡で接していますので、パナマを含まずそれよりも南の地域を指すことが普通です。
また大陸周辺の島嶼はもちろん含みますが、ベネズエラの北に広がるいわゆるカリブについては南米ではなく中米に分類することが普通です。
南米は歴史的にみて人類が最後に進出した大陸と考えられています。
人類はアフリカ大陸で誕生し、ユーラシア大陸に広がり、現在は海となっているベーリング海峡がまだ地続きであった頃に北米大陸に移動、さらに南に移動して南米大陸に至ったと考えられているからです。
目次
南米のインカ帝国
文明の歴史という意味では、インカ帝国が最も有名でしょう。
現在のペルーを中心として北はエクアドルやコロンビア、南はボリビアやチリのあたりにまで細長く勢力を伸ばしていた一大文明です。
ペルーにあるマチュピチュは、おそらく多くの人は名前くらいは聞いたことがあるはずですが、その最大の遺跡となっており、もちろん世界遺産にも登録されています。
インカの首都はマチュピチュのすぐ近くにあるクスコで、ここは単なる遺跡ではなく現在でもペルー有数の都市として栄えており、実はここもマチュピチュと同じく世界遺産に登録されています。
このような遺跡やその版図を見れば当時のインカがどれだけ有力な文明であったか想像はつくことですが、おそらく世界史の授業でも習ったようにこの文明は大航海時代によってヨーロッパからやってきた勢力と衝突し、あえなく滅亡させられてしまいます。
最終的に滅亡したのは1533年、スペイン人のフランシスコ・ピサロによる征服でした。
これはあくまで西欧人による征服、制圧の最も大きなものを取り上げたにすぎず、かつてのインカ領のみならず南米の全域がスペインとポルトガルの両国によって植民地化されてしまいます。
このとき、スペイン領とポルトガル領とを分けたのがこれも世界史の教科書に必ず書かれるトルデシリャス条約です。
この条約により南米大陸を含む1本の経線が地図上に縦に引かれ、その線よりも西はスペイン領、東はポルトガル領とされたのです。
たった1本の線により領土を分け合うなど植民地支配の典型例とも言えるものですが、これにより現在のブラジルに当たる地域のみがポルトガル領、それ以外の南米は全てスペイン領となりました。
南米においてブラジルだけが公用語をポルトガル語としており、その他はほとんど全てスペイン語地域となっているのは、元を辿ればこのトルデシリャス条約によって引かれた1本の線に由来するのです。
南米の経済
南米の諸問題としてはやはり経済力が第一に挙げられることが多いでしょう。
ブラジルやアルゼンチンなど一部はかなりの経済規模を持ってはいますが、それでも日米欧などに比べると弱いことは間違いありませんし。
単なる経済力の規模よりも大きな問題とされることがあるのがその格差です。
経済格差はもちろんどんな地域でも存在しますが、南米ではそれが世界の中でも大きく、そのために社会不安が発生する程度にまでなっています。
日本やアメリカと見まがうような高層ビルの建ち並ぶ摩天楼があったかと思えばそのすぐ隣にはスラムが広がっていたりするということです。
南米の政治
また、政治的にも不安定な地域が少なくありません。
具体的にどこと名指しするのは控えますが、民主主義を掲げる政権ではなく軍事政権が支配しているところもありますし、中央政府の支配が十分に末端まで及ばす、ゲリラなどが横行しているところもあります。
とはいっても、日本人にとっては地球のほぼ裏側ということもあって、憧れとともに行ってみたいと考える人が少なくないところでもあります。