歴史

四面楚歌の由来と意味を簡単に分かりやすく解説~垓下の戦い

日本人であれば誰でも一度は、四面楚歌という言葉を使ったり耳にしたりした経験があるでしょう。

しかし、四面楚歌の本当の意味や由来は古来の日本にあるのではありません。

言葉を使用するだけなら本当の意味や由来を知らなくても問題はありませんが、教養として知っておいても損はありません。

雑学として披露するネタにもなるのでチェックしておくのが得策です。

このブログは、四面楚歌の意味と由来を簡単に分かりやすく解説していきます!

四面楚歌という言葉は故事成語に分類されるもので起源は中国にあります。

中国といっても、まだそんな名前で認識されていないような遠い昔の出来事が関係しているのです。

具体的にには紀元前200年ぐらいであり、秦から漢にかけての時代のことになります。

現代の中国はアメリカの地位すら脅かす大国になりましたが、当時は現代よりも栄えていた先進国と言っても過言ではありません。

由来となる出来事の厳密な時期は、秦が滅亡した後に劉邦が覇権を握る少し前です。

まさに古来の中国の歴史が激動するタイミングでした。

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四面楚歌という言葉が生まれた項羽と劉邦の垓下の戦いの意味

当時は項羽と劉邦という2人の王の率いる国が戦争をしていたのです。

項羽のほうが勢いがあったので、そのまま押し切ると予想されていました。

しかし、途中から後に漢を建てる劉邦が盛り返していき、最終的には勝利することになります。

決め手となったのは、戦記としてのクライマックスにあたる垓下の戦いでした。

この決戦が繰り広げられる時点で、すでに劉邦の優勢は揺るぎないものになっており、決着は時間の問題という状況です。

項羽はここに拠点となる砦を構築したのですが、次第に敗色が濃厚となって籠城を余儀なくされてしまいます。

外に出て積極的に応戦しなければ戦局は覆りません。

しかし兵士はかなり減っており、個々の気力も尽きかけているのが実情です。

さらに大きな問題として食糧の不足が挙げられます。

疲弊を回復できないなど、籠城においては致命的な問題であり、そのままでは負けてしまうのは明らかです。

そのような戦局であっても、劉邦が油断をすることはありませんでした。

砦から脱出する経路をすべて防ぎ、幾重にも囲むような陣形を取り続けたのです。

このように徹底的に追い込まれた状況で、普通の精神状態を保てる人は多くないでしょう。

崩壊しそうな気持を抑えながら、項羽は何とか王としての役割を全うしようとします。

気高く自尊心の強い彼だからこそ、それまで挫けずに抗戦できたと伝えられています。

しかし、そんな彼に大きなショックを与える事態が起こってしまいました。

夜になって周辺が静かになったときのことです。

静かなだけに冷静に物事を考えて、現実を直視できるようになります。

そのため、彼も勝ち目がないことはすでに理解していました。

戦略に長けており知将としても名高いのに、戦いの行方を予想できないわけがありません。

とはいえ、民や兵を統べる王として認めるわけにはいかなかったのです。

そういう強い彼もとうとう弱音を吐いてしまいます。

なぜなら敵の兵士たちの方角から、楚で馴染みのある歌が聴こえてきたからです。

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四面楚歌~敵がいる東西南北の四面から楚の歌が聞こえてくる

そこは彼の故郷であり、非常に特別な意味のある場所となっています。

江南というエリアにあり、そこの貴族として出生したという経緯がありました。

そんな歌が聴こえてくるということは、故郷の人々が自分を裏切ったということを意味しています。

流石に彼も平静な心情ではおられず、大いに嘆くことになりました。

この後から敗北に向かって時間が加速するように流れ始めます。

絶望感を覚えながら、垓下の戦いに敗北することになったのです。

四面という単語は東西南北のことであり、完全に包囲されている状態を指しています。

これらが四面楚歌という故事成語の由来であり、意味は「周囲を敵に囲まれて孤立している状態」です。

中途半端に中国の歴史に詳しい人ほど、四面楚歌の由来に対して疑問を持つ傾向が見受けられます。

なぜなら項羽の出身地を知っていると、故郷の人に囲まれているのに孤立していると捉える理由が分からないからです。

実際には故郷の人たちが劉邦側に寝返ったという背景があるのを覚えておきましょう。

単純に本来の敵に囲まれるよりも、遥かにつらい状況だったといえます。

しかし、日本で慣用句やことわざのように使われるときは、寝返りの要素まで考慮されていないのが一般的です。

戦争のような争いごとだけでなく、仕事関係や友人関係を表すときにもよく用いられます。

小学校や中学校の国語の授業で教わりますが、意味自体は常識的なレベルの言葉といっても差し支えありません。

そのため、一歩進んで由来を考慮した使い方も身につけておくのが望ましいです。

たとえば、会議などで賛成派だった人たちが全て反対派に回ったときなどに使うのが、由来に忠実な使用方法となります。

同様の意味を持つ四字熟語としては孤立無援が挙げられます。

こちらも孤立していて誰からの支援も見込めないときに使われることが多いです。

四面楚歌と組み合わせて使うと、不利な状況をさらに強調して表現できるようになるでしょう。

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