郵便はシステムそのものの歴史は非常に長いですが、郵便番号のみに注目すると歴史はそれよりずっと浅いことがわかります。
郵便番号が世界で初めて導入されたのはソビエト連邦下にあった昔のウクライナで、1932年11月のことでした。
ウクライナでの郵便番号制度は1939年にいったん廃止されますが、1941年にナチス政権下のドイツで郵便番号制度が導入されます。
その後、1950年代にはアルゼンチンとイギリスで、1960年代に入るとアメリカやスイス、日本などで郵便番号制度が始まりました。
日本で郵便番号制度がはじまったのは、1968年7月1日ですが、その大きな理由は他の多くの国と同様で人口増加と経済成長などに伴う郵便の取扱量の増加です。
目次
郵便番号の桁数(3桁・5桁時代)と増えた郵便物
1960年代に入ると、郵便物の取扱量は年に4~7%のペースで増加するようになりました。
この当時の郵便物の仕分け作業は、ほとんど郵便局員による手作業で行われていました。
郵便物の増加には人員増加と作業スペースの拡大によって対応していましたが、あまりにも取扱量の大幅な増加が続くため、この対応で増加する郵便物をカバーするのも限界に達しつつありました。
1964年11月に郵政省の諮問機関である郵政審議会が大臣に対して提出した答申でオートメーション化と郵便番号制度の導入が言及されました。
これにより郵便事業の近代化は、国家プロジェクトとして進められていくことになりました。
郵便番号制度の骨格は自動化技術の開発と並行してすすめられ、ハガキ等に印字される郵便番号の赤い枠の規格もこのときに決まりました。
郵便番号制度が始まった当時は桁数が3桁もしくは5桁でした。
割り振られる郵便番号は1960年代当時主流の輸送手段であった鉄道の路線網をもとに決められ、取扱量が比較的多い大規模な郵便局には3桁、それ以外の郵便局には5桁の番号が付与されました。
桁数が3桁・5桁から7桁に増えた郵便番号の歴史
1990年頃には、放送局や大手企業などといった日頃から郵便物の取扱量が多い事業所に対して、大口事業所個別番号と呼ばれる固有に郵便番号を付与する制度もはじまりました。
日本の郵便番号制度が始まって以来の大きな変化は、1998年2月2日に実施された7桁への桁数変更です。
従来番号が3桁だった地域には4桁、5桁だった地域には2桁を加えて、ハイフンを挟んで3桁と4桁の組み合わせで、1998年に7桁の全国郵便番号が割り振られるようになりました。
桁数が7桁に増えることで町域全域にひとつの番号を割り当てられるようになり、複数の事業所が入っているビルに対しては階層ごとに個別番号を指定できるようにもなりました。
いつから郵便番号が完全に7桁に増えたのか?
7桁への郵便番号の桁数変更は1998年12月1日までに完全に完了しました。
7桁への変更が実施された当時は番号記入枠が5桁分しかないハガキや封筒が非常に多く流通していたため、移行措置として1997年11月から1年間、全国の郵便局の窓口で新郵便番号枠シールが配布されました。
なお、桁数変更前の3桁および5桁の郵便番号は完全に廃止されたわけではなく、現在でも郵便に関する業務の中で郵便区番号として使用されています。
一般の人は郵便番号簿と呼ばれる書籍を購入すれば桁数が変更される前と後の番号を知ることができます。
人口減少中の今の日本において、これ以上郵便番号の桁数が増えることはないようです。
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