湊川隧道とは、兵庫県神戸市にある河川のトンネルです。洪水を予防するのに掘られて湊川の流路を変更しています。
湊川隧道は近代的土木技術を用いた日本で最初の河川トンネルになります。
湊川隧道の歴史は、明治29年の暴風雨による大水害によって石井川と天王谷川合流点から南西に新河川を掘り苅藻川に合流する工事をして明治34年8月に竣工しました。
トンネルの内部の覆工には煉瓦による竪積みと言われる技法が使われております。
覆工の背面には栗石が裏込材として施工しているようです。
また、河川トンネルという条件からインバート部は煉瓦の上に花崗岩の切石を敷き詰めた造りになっており洗掘と摩耗等への対策が十分になされています。
断面規模は、内空幅が7.3メートルで内空高さが7.7メートルになっており内空断面積が45平方メートルです。
また、湊川隧道には呑口側と吐口側の両方の坑門に扁額が掲げられていました。呑口側には、湊川の扁額が掛けられています。
一方吐口側には、天長地久の扁額が掛けられているようです。
天長地久の言葉は、天地は永遠に変わらぬ存在であることを意味しています。
呑口側の坑口デザインには、名称があり親柱・笠石・飾り柱・高欄・説明板・飾り石・臥梁・くさび石・せり石・壁面から成り立っています。
湊川隧道のデザイン
一方、吐口側の坑口デザインは笠石・飾り柱・角縁・飾り石・臥梁・レンガ・くさび石・せり石・レンガ・名板です。
湊川隧道は、阪神・淡路大震災によって大きな被害を受けましたが補強などの工事が行われ修復しました。
後に湊川隧道の横に新たな新湊川トンネルが完成して湊川隧道は水路としての役割を終えました。
現在は、当時のまま保存しており地域の人々の活動の場として活用されています。
新湊川トンネル
新湊川トンネルは、平成8年3月に工事に着手して平成12年7月に貫通した後平成12年12月通水しました。
延長は施設拡大区間が97.2メートルでバイパス区間が491.0メートルになり開削区間は95.0メートルです。
また、掘削断面積は約144平方メートルであり内空断面積が約105平方メートルになります。
計画流量は毎秒260立方メートルで縦断勾配は303分の1です。最小曲線は半径150メートルになります。
また、湊川隧道は過去に何度か流れを変えているようです。
平安時代には、11世紀に平清盛などが古湊川から湊川へ付け替えたようです。
明治18年ごろには、度重なる湊川の氾濫や天井川の湊川が東西交通の障害になっていたことから付替えられました。
明治43年になれば石井川と天王谷川の合流点下流の菊水橋付近から付け替えられており会下山をくり抜いた湊川隧道を流れて刈藻川に合流する新湊川ができました。
平成13年7月7日には、湊川隧道保存友の会を作り湊川隧道の保存及び研究や情報発信などの活動を行なっています。
平成18年8月から湊川隧道の定期的な一般公開をしているようです。
湊川隧道の一般公開日は、毎月第3土曜日の13時から15時になります。